コラム Column

「iPhone」の成功から学ぶもの

ブランド   2015/07/10  

こんにちは。アソシエイトの大河内です。
一人暮らしにとって梅雨は、洗濯のタイミングが難しい、好ましくない季節です。
皆様は、いかがお過ごしでしょうか。
 

さて、最近のコラムではやや小難しい話が続いているように思いましたので、今回は肩肘張らず、皆さんにとっても身近な「スマホ」市場について考えたことをお話させて頂ければと思います。

下記の円グラフはスマートフォン販売台数のシェアです。ご覧のように「iPhone」は数々のアンドロイド端末を退けていることが分かります。

かわちさん グラフ3.jpg

世の中にあふれている議論ではありますが、今回はなぜ「iPhone」はここまで勝てたのかについてブランディングの視点から考えてみたいと思います。お話する構成は以下の通りです。まず、ブランディングとスマホの市場を前提として確認します。その上で、マーケティング4Pのうちプレイスとプロモーションに注目して「iPhone」大ヒットのカギについてお話できれば、と思います。

ブランディングとスマホ市場
前提となるブランディングの考え方として、「ブランド価値とは、企業や商品との接触体験で消費者が感じたイメージの蓄積である」という考え方があります。

例えば、スポーツブランドNIKEで”かっこいい”靴を買うことや”かっこいい”CMをみること、つまり一貫して”かっこいい”と感じる接触体験をすることによって「NIKEといえば、”かっこいい”スポーツブランド」という想起が消費者に産まれるということです。靴自体が”かっこいい”としても、CMが”かっこよくない”ものであれば”かっこいい”ブランドとしての力は強くなりません。

次に、スマホ市場についてです。つい5年ほど前までは市場全体が急速に拡大する傾向にありましたが、近年は微増~横ばいといった現状です。プロダクトでは、「iPhone」と「GALAXY」が二大プロダクトとなり、その他に有象無象のアンドロイド端末が溢れている状態です。また、プレイヤーの数自体は減少傾向にあるものの、製品の高度な均質化が進んでおり、消費者の意見は「機能を逐一比較するのは面倒だから、有名な「iPhone」と「GALAXY」から選ぼう」といったところかもしれません。

ここまでのお話だけでも、「iPhone」がなぜシェア争いに勝てたのかはぼんやり見えてきます。つまり「おしゃれで先進的なスマホといえば「iPhone」というブランドイメージを作り上げ、消費者の単純な商品比較から一歩抜きんでることができていたのです。

しかし、これだけでは「GALAXY」との違いは生まれないでしょう。ともに、本体に優れた機能を取り付け、CMも洗練された雰囲気にしている点では差別化ができていないからです。

それでは次に、どのように「GALAXY」など他の製品と差別化を図り、「iPhone」が「おしゃれで先進的」というイメージを作り上げたのかについて、フォワードなりの視点で細かい部分に一歩踏み込んでみたいと思います。


プレイスとプロモーションを工夫する
ここで注目するのがマーケティング4Pの中に含まれるプレイスプロモーションです。

・プレイス
「iPhone」のマーケティングで他の製品と大きく異なる点の一つがこの、プレイスです。
ご存知の通り、「iPhone」は直営店であるアップルストアだけでなく、各携帯電話会社の店舗や家電量販店でも販売されています。
ここで、以下の二枚の写真をご覧ください。

KIMG0533.JPG

KIMG0532.JPG


どちらもドコモの携帯売り場の写真ですが、アンドロイド端末と「iPhone」では明らかに販売場所の設計が異なります。アンドロイド端末は様々なブランドが一緒の棚に陳列されていますが、「iPhone」だけは同じ棚には陳列されず別のテーブルが用意されており、本家アップルストアのような販売方法になっています。

どちらもドコモが扱っている端末ですから、基本的に商品の陳列に関する判断権限はドコモにあるはずです。いくら売れるとはいえ、「iPhone」だけ違う棚を各店舗で用意するのは相当の労力がかかるため、ドコモとしても好んでやりたくはないはずです。

ですから、この売り場設計の背景としては、各店舗で自社商品を魅力的に演出するため、ドコモの販売店に強いガイドラインを敷き、販売方法をアップルストアと統一的にする必要があるとアップルが考えたからにほかなりません。

同じ現象はソフトバンクやauの売り場でも起きており、アップルのブランドイメージ醸成に対する細部までの意識の高さが伺えます。

プロモーション
プレイスでお話したような、アップルの強い販売方法への強い統制がより顕著に見られるのがプロモーションです。

最新の「iPhone6」を宣伝するドコモとauのCMは、どちらも冒頭に表示される企業名以外は全く同じものです。(動画を貼れず申し訳ございません。。。機会があればテレビを注視してご覧ください。)

ここには、アップルが消費者のブランド体験をできるだけ統一化しようとする意思が強く読み取れますし、さらには、「どこのキャリアと契約しよう」よりも、「アップルの「iPhone」を買おう」となってほしいという「iPhone」の意思が感じられます。

またCMの雰囲気や広告物も「iPhone」のもの、と言われれば、背景が白いアレだったり、人の生活のシーンを切り取ったアレだったりと、一定のものが皆様の頭に思い浮かぶのではないでしょうか。

これは明らかに「iPhone」が同じ雰囲気のCMをブラさずに流し、ブランド接触体験を成功させているといえます。


アップルの戦略を取り入れる
さて、ここまでプレイスとプロモーションに注目して「iPhone」の販売戦略の話をしてきましたが、最後に総括に移りたいと思います。

出発点に戻ると、ブランド価値は「消費者との一貫したブランド接触体験の設計によって形作られる」のでした。

この「一貫したブランド接触体験」に成功しているアップルから学ぶべきものとしては、『BtoBtoCの販売モデルでは、中間に入るBや代理店の適切な統制をすることが顧客接点の統一に有効であり、ブランド価値向上に寄与しうる』ことであるといえます。

もちろん、アップルのような強いブランド力を持った企業だからこそできるという、鶏卵な側面もありますが、統制とまではいかなくともある程度中間企業を「導く」ことで自社のブランド価値を高めることは、多くの企業様にとって取り組むべき課題であるように感じております。ここでいう「導く」とは店舗での販売方法やCMの内容を中間企業様に対して細かく、適切に要件提示をし、その通りに実行してもらうということです。

さて、「iPhone」がいかにブランド価値を高めたかについての考察、いかがでしたでしょうか。

弊社ではブランド価値を高めるために、中間企業様を適切に導くためのサービスも実施しております。
なにかお困りごと等ございましたらご一報ください。

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