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「アンダーアーマー」の最大の強みとは?

ブランド   2015/09/18  

こんにちは。コンサルタントの園田です。

皆さんはスポーツに関するブランディングと聞いて、何を思い浮かべますか?

スポーツに関するブランディングのニュースで語られるのは「どこのメーカーが誰のスポンサーになった」や「どこのチームのスポンサーになった」といったものが多く、“ブランディング=選手やチーム、大会のスポンサー提供”という認識がまだまだ根強いのが現状です。

そんなスポーツ業界で、ちょっと興味深いブランディングを行っている企業があります。

「アンダーアーマー」です。

ここ数年、日本でも知名度を急上昇させているこのブランドをテーマに、今回のコラムを書かせて頂きたいと思います。


 


アンダーアーマーの原点とは

アンダーアーマーは、アメリカ・メリーランド大学のアメフト選手であり、後の創業者となるケビン・プランクが抱いた、当時のアメフト用インナーシャツに対する不満が創業の原点になっています。

実は、当時のインナーシャツはコットン100%製。そのため、汗をかくと重くなり、パフォーマンスが低下、更には身体も冷えてくるということに彼は長らく不満を感じていたのです。

”質の高い商品をアスリートに使用して欲しい”

そんな思いからケビン・ブランクは1996年にアンダーアーマーを創業。そして2年後の1998年、株式会社ドームと代理店契約をしたことから日本での展開がスタートしました。

プロ野球・読売巨人軍とのスポンサー契約をアディダスから勝ち取ったニュースなど、ここ数年メディアへの露出も増えてきており、日本でも知名度は急上昇。スポーツシーンでアンダーアーマーのウェアを着ている人を見かける頻度も多くなってきたように感じます。

そして、そんなブランド構築の裏側には、(インナーシャツ開発を手掛ける同社ならではの?)社員一体となったインナーブランディングの取り組みがあったことを、皆さんはご存じでしょうか。

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アンダーアーマー飛躍の秘訣

もちろん、前述の読売巨人軍へのスポンサー提供をはじめとして、アンダーアーマー社も他の有名スポーツメーカーと同じようなプロモーション活動を多数実施しています。

ただ、「アンダーアーマー」ブランド飛躍の秘訣は、そういったプロモーション活動ではなく、株式会社ドームによる「社員一人一人への”ブランドミッションと行動指針”の徹底した浸透」にあると私は考えます。

アンダーアーマーのブランドミッションは「TO MAKE ATHLETES BETTER(アスリートを進化させる)」。

そして、株式会社ドームの行動指針と言える「三大主義」の1つにある「自前主義」

「自前主義」とは、安易に外部に頼ることをせずに、自分の頭と身体を使い能力を向上させていくということ。どんな難題に対しても、”まずは自分がやってみる”ということ、などの要素が含まれます。

その象徴的な例が、CMやカタログなどの販促物の制作です。

一般的には、そういった制作物は広告代理店など外部の専門家に外注することが多いですが、株式会社ドームでは、社員自らがカタログに使用する写真の撮影をしたり、CMの製作監督になったりするのです。ある社員が写真撮影をする一方で、別の社員はアスリートが跳んだり走ったりする姿の練習モデルとして、その場に携わったりもするそうです。

当然、その社員の方々はカメラマンやCM制作のプロフェッショナルではありません。

それでも、安易に外注をするよりも質の高い制作物を産みだすことができているのは、「TO MAKE ATHLETES BETTER」というミッションを”自前主義”で自分たちの頭と身体を使って徹底的に考え抜いているから。

すなわちブランドの「ミッション」と、それを業務に結びつける「行動指針」が有機的に機能しているからに他なりません。

また、同社のアスリート向け営業(トップ選手だけでなく学生チーム等も含む)は、卸会社を通さずに自ら選手やチームのところへ出向き、直接コミュニケーションを取ることによって、商品改善への質の高いフィードバックを可能にしています。

これも、”自前主義”という行動指針から産まれた1つのスタイルなのかもしれません。
 


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ここまで、アンダーアーマーの躍進を支えた「ミッション」と「行動指針」について書かせて頂きましたが、ここで前述のブランド設立の背景をもう一度思い出してみましょう。

元々アメフト選手であった創始者ケビン・プランクは、自らが抱いたインナーシャツへの不満から「もっと質の高い商品が必要」という想いを抱き、そして”自らの手で”そのような機能性の高い商品を創り上げました。

そうです。

実現したいミッションに向けて、まさに”自前主義”で設立されたのがアンダーアーマーブランドだったというわけです。

自らの体験を基にしたブランドミッション。
そして、ブランド設立の背景がルーツになった強力な行動指針。

ブランドの根幹を支えるこの2つの思想が社員一人一人に浸透することによって、強力なブランドを創りだす日々の取り組みが生み出されているということが、アンダーアーマーの最大の強みなのではないでしょうか。



インナーブランディング、特に「行動指針」について記した過去のコラムも併せてお読み頂けると幸いです。

『行動指針がブランディングにもたらす役割』
『行動指針を策定・運用するコツとは』

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