コラム Column

ボジョレー・ヌーヴォーはもう売れない!?

ブランド   2015/11/19  

こんにちは。
コンサルタントの大河内です。

今回は、少し乱暴なタイトルとなってしまいましたが、本日11月19日に解禁しました「ボジョレー・ヌーヴォー」についてお話したいと思います。

具体的には、
・ボジョレー・ヌーヴォーだけなんでお祭り的に売れているのか?
・ボジョレー・ヌーヴォーは今後どうなるのか?

といったところです。

■ボジョレー・ヌーヴォーってなに!?

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前提として「ボジョレー・ヌーヴォー」について簡単にお伝え致します。

皆様ご存知の通り、ボジョレー・ヌーボーは11月中旬~下旬にかけて解禁されるワインのことです。ちなみにボジョレーはフランスの地名、ヌーヴォーは“新酒”という意味だそうです。“新酒”というのは、秋口に収穫したぶどうを使って、1か月弱でワインの形に仕上げているということを指しています。通常ワインは数年寝かせることが普通ですので、ボジョレーはとてもフルーティーで若く、軽い味わいがします。

ただし、一般的に他国ではこの味わいが好まれず、わざわざボジョレーを購入するくらいなら通常のワインを購入することが普通だそうです。


■ボジョレーはなぜ盛り上がる!?

さて、ワインは数あれど、ここまで認知されお祭り的に盛り上がるワインはそう多くはありません。なぜボジョレーは解禁日周辺においてここまでの盛り上がりを見せるのでしょうか。

このことについてはマーケティングの文脈で多くのことが語られていますが、そのカギは提供価値を“お祭り的にボジョレーを購入・消費すること”とし、そこに向けて様々な施策を行ったことにあると思っております。

例えば、解禁日という制度。

日本においては誰が設定したのかこの解禁日、これがあることにより、解禁日まで手に入らないという限定性、記念日性が消費欲求を駆り立てます。さらに毎年これを行うことで、11月といえばボジョレーを買う、という認識にも繋がります。特に日本においては、「時差の関係で先進国の中で一番初めに飲める」という謳い文句まで付くことがあり、普段ワインに興味のない人までが気になってしまうのです。

もう一つ例を挙げると、その年のボジョレーの出来を表すキャッチコピーがとても印象的です。

ちなみに昨年は、

『50年に一度の出来』

・・・・・

『と呼ばれた2009年に匹敵する味』


だそうです。

ちなみに50年に1度の出来であった2009年の翌年2010年は『2009年と同等の出来』でした笑

内容はともかく、このように面白い?キャッチコピーが話題になったりすると、確かに気になって買ってみようという気になりますね。

その上で、主要な販売チャネルを押さえ、酒類を販売する至る棚にあのカラフルで印象的なラベルが並ぶことで、消費者は刷り込み的にボジョレーを買ってしまう現象が起こるというわけですね。

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これはつまり、弊社が常々お伝えしている「ブランディングは提供価値を定め、そこに向けて一貫性と継続性を持った取り組みをすることが最重要」ということをまさに体現し、ボジョレーというブランドを確立していると言えるでしょう。             


■だがしかし、ボジョレーは売れなくなる

しかし断言します。ボジョレーは少なくともこれから数年の内は消費量が落ち込んでくるでしょう。

これまでから現状のボジョレーは先述の通り、提供価値が“お祭り的にボジョレーを購入し消費すること”そのものでした。ピーク時には全世界の46%のボジョレーを消費し、日本人の10人に1人が購入していたボジョレーですが、実はその購入者の大半は年にボジョレーの時季くらいしかワインを購入しない人たちでした。

ワインに対して舌が肥えておらず、だからこそ「購入し、消費する」という価値が刺さっていたという側面は見逃せません。

例えるのであれば、発売当初のフォード自動車や三種の神器のようなものだとお考えいただければよいでしょうか。モノ自体の珍しさや新規性、それを所有・消費することが価値として成立するものです。日本人にとってボジョレーはそのような位置づけとして捉えられてきたように思われてなりません。

ですが近年、空前のワインブームが到来しています。詳しい理由はここでは割愛致しますが、ワインの国内消費量は2012年頃から伸び続け、2014年では過去最大を記録しています。皆様も、ワインを飲む機会が増えたり、街中にイタリアンバルや和食とワインを提供するお店、などが増えているようにお感じではないでしょうか。

こうなってくると消費者のワインに対する姿勢が変わってきます。舌は肥え、味の横比較を行うようになることで、たとえボジョレーであってもそれを購入・消費すること自体には価値を感じにくくなります。また冒頭でお話したように、ボジョレーは通常のワインとは明らかに味が違うため、それに納得できなければ(独特の味が好きでない人は)翌年以降に購入することはなくなるわけです。従って、ボジョレーのお祭り消費そのものは減退しますし、コスパが悪いと感じられてしまうボジョレーの種類は市場から淘汰されていくでしょう。

日本におけるワイン文化の定着に一役買っていたボジョレーが皮肉にも、その定着によって一過性のものとして見られてしまうという現象が起こるといったところですね。


■ボジョレーの今後

とはいえ、ボジョレーが現時点で認知やお祭り消費の点で高いブランド力を有していることには変わりはありません。

・ボジョレーの変わった味を活かせるような、食べ合わせ・飲み方の提案を強める
・ボジョレーの購入~消費のイベント性を強め、それらを行うことによる心理的価値を付与する

といった施策により、これからも十分に生き続けることのできるブランドだと思います。

来年・再来年以降のボジョレー・ヌーヴォーに期待しましょう!

それでは!

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