コラム Column

2016年のヒット商品を占う

ブランド   2016/01/06  

みなさんこんにちは。
取締役の伊佐です。

昨年最後のコラムは、日経トレンディの「2015年ヒット商品ランキング」から「コンビニドーナツ」を取り上げて「イノベーションの起こし方」について書かせて頂きました。

そして今回、2016年最初のコラムは、同じく日経トレンディの「2016年ヒット商品予測」から感じたことを書いてみたいと思います。

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さて、早速内容についてですが、2016年のヒット商品予測には、実物に触れたことのない私でも見ているだけで楽しくなるような、“身近で手軽なもの”が多いですね。

「ヒットする=万人に受け入れられる・売れる」ということなら、“身近なもの”は当たり前のこととして、総じて“手軽さ”が感じられる辺りに、実感できるレベルでは好転していない経済状況が表れていると言えそうです。
 

まぁそれはそれとして、私が注目したのは、2つの商品群です。
 

まずひとつ目の商品群は、

・2位 激安オムニ家電

・5位 PlayStationVR

何故注目したか・・・それは、端的に言えば、「それはヒットしないでしょ~」と思ったからです(メーカーさんすいません。あくまで個人の意見です)。

どちらも、簡単に調べただけですが、素晴らしい技術です。私も元々新しいもの好き、且つゲームやSF小説好きでもあるので、オムニ家電には「子供のころに思い描いた未来像」を感じましたし、PS-VRには「遂に来たなVRMMO」などとトキメキを覚えました。「CtoC」的と言えばよいのか、2010年前後から浸透している、いわゆる「共感・共創」の文脈にも乗っています。

しかしどうしても、「1年後とは言え、消費者は果たしてそこまでのモノを求めてるのかな~」という感覚が拭えません。敢えて批判的な言い方をすれば、「シーズ起点の典型的プロダクトアウト型展開」に見えてしまったということです。

 

そして、対照的なふたつ目の商品群です。

・6位 テラハ風エコノミーホテル

・8位 ベランダ・グランピング

・11位 無充電スマホ

・14位 ソーシャルカーシェアリング

どうでしょう?流行る気配がより強く感じられませんか?
もちろん私も、「これは本当に流行りそうだな」と感じたから注目しました。

どれもネーミングを見聞きしただけで、何となくどんなものかがイメージできることがまず良い点ですね。

そして、もっと良い点は、それを買ったり使ったりした時のベネフィットが具体的に思い浮かぶところです。だからこそ、「本当に流行りそう」と感じたのでしょう。

 

私はこれら2つの商品群を「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という言葉で対比させましたが、開発者・提供者サイドは、おそらくこう思われているでしょう。

「当然、ニーズとシーズを最適にマッチングさせてこのカタチになったのだ」

「プロダクトアウトでもマーケットインでもない。両面からカタチにしたのだ!」

全くもって仰る通りだと思います。

 

そもそも、世間ではマーケットイン > プロダクトアウト のような言い方がされることが多いですが、優劣のつくものではありません。

私が激安オムニ家電やPlayStationVRに対して「プロダクトアウト型」という言葉を使ったのも、「プロダクトアウト」が悪いという意図ではありません。

何故なら、所謂大ヒット商品の多くは、iPhoneやfacebookなどを例に出すまでもなく、「プロダクトアウト」的な発想によって生まれているという事実があります。既存の枠組みをはみ出してこそ、真の大ヒットは生まれるというのも、頷ける話です。
 

では何故このような話をしたのかと言えば、それは、「マーケットイン的に見えること」こそがヒット商品となるための重要なファクターであり、「プロダクトアウト的に見られてしまうこと」は、ヒットするためのマイナス要素となるのではないか?ということをお伝えしたかったからです。

少し言い方を変えると、「ちょうど顕在化しかかっているニーズ」にフォーカスすることが非常に大事だ、ということです。

今の世の中でヒットを生み出すために必要なのは、この「顕在化しかかっている」ニーズやベネフィットを、素早く捉えて商品サービスに変えることだと考えています。

よく「潜在ニーズを見出そう」という意味合いの言葉が使われます。しかし、そのような「誰も思いつきもしなかったようなアイディア」は、驚きを与え、強いインパクトはあるでしょうが、ニッチ商品としてマーケットアウトしてしまうリスクが非常に高いとも言えます。

だからこそ大事なのは、「”こんなことができればいいのに”と消費者が感じ始めていること」を、「最適な“カタチ”に落して提供すること」だと思う訳です。

そうして見ると、オムニ家電やPS-VRは、まだ消費者が「”こんなことができればいいのに”とすら感じていないこと」に思えてきます。

一方、テラハ風エコノミーホテルやベランダ・グランピング、ソーシャルカーシェアリングなどは、既にそのように感じられているという意味で、程よく「ちょうど顕在化しかかっている」ように感じられます。
 

当然ですが、結果として何が流行るかは、プロダクトだけで決まるはずもありません。

様々なプロモーション・チャネル・価格等に加え、最初にそうした商品サービスをリリースしたプレイヤーに追随し、マーケットそのものを広げてくれるプレイヤーが現れるか否かなど、多くの要素が絡み合った結果として、実際に流行したり、しなかったりするでしょう。

しかし、マーケッターの皆さんは、プロダクトアウトでもマーケットインでもなく、「顕在化しかかっているニーズやベネフィット」を、如何に早く捉え、カタチに落し込むか、という視点で消費者を捉え、商品サービスを産み出していくかという視点で考えると、2016年のヒットのタネが見つかるのではないでしょうか?

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